60年の夏
二年分の記憶が混ざっている。
60年とその前年と。
ただはっきりした記憶では、私の臨海学園の迎えを
まったく予期せず父がいてくれた年と期待していたのに父がいなかった年。
来てくれなかった年の夏は、父は荒んでいた。
私は期待していた数個の甘い桃がすでに誰かのものになった
ことを知るだけで父の変化に気づかなかった。
姉は私の期待を裏切って予定より早く東京に帰っていた。
歴史の分岐点、60年。安保。
そこに、ひたすら父の願望に応えようと
弱った父親を助けようと努力し研鑽し身を慎んだ
姉のつらさが伝わってくる。
それがこの人の研究の動機の強固さに繋がったのだろうか。
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by sawa-78
| 2018-02-02 08:12